2024/01/19
中古住宅を購入してリノベーションすれば、家族らしく暮らしやすい住まいを実現できます。
しかし、築年数の進んだ建物に、その先どのくらい住めるだろうと心配になりますよね。
今回は、
「築30年以上の建物をリノベーションしたらどのくらい住めるのか?」
「長く住むためにはどうしたら良いか?」
といった疑問にお答えします。
購入した中古住宅をリノベーションする時、あと何年住めるのか気になりますよね。
結論から言うと、 リノベーションによって建物の寿命を延ばすことができます。
例えば、築30年ほどの中古住宅であれば、その先50年ほど、場合によってはそれ以上長く住むことも可能です。
ただし、難しいのは、同じ築年数、同じ工法でも、建物ごとに劣化の状況が全くちがうことです。
リノベーションで建物の寿命を伸ばすには、その建物ごとの劣化を見極め、適切な工事を行なう必要があります。
購入した中古住宅をリノベーションして永く住むには、3つのポイントがあります。
次の章から、3つのポイントを抑えていきましょう。
そもそも、中古住宅の寿命はどのように決まるのでしょう。
少し前まで、「木造住宅の寿命は30年ほど」という考えが一般的でした。
しかし、何百年も前に建てられた歴史的建造物からもわかるとおり、 木造の建物がすべて30年で朽ちてしまうわけではありません。
適切なメンテナンスが行われていれば、建物の寿命を伸ばすことができます。
建物の寿命を維持するために重要なのは、以下の2点を知っておくことです。
建物は、さまざまな素材を組み合わせてできているため、場所によって劣化のスピードが異なります。さらに、利用状況や温度・湿度、災害など、さまざまな環境条件も劣化を早める原因です。
まずはこの2点について、簡単に解説します。
まずは、部位ごとの一般的な寿命を見てみましょう。
建物部位 |
一般的な寿命 |
基礎(コンクリート) |
60~100年 |
土台/柱(木構造) |
80~100年 |
給排水管 |
30~40年 |
設備(浴室、キッチンなど) |
15~20年 |
屋根(瓦) |
50~100年 |
外壁材 |
30~40年 |
[木造住宅の部位毎の寿命]
例えば、築30年ほどの中古住宅であれば、
が交換の時期を迎えているでしょう。
また、屋根も、瓦自体は高い耐久性があるものの、つなぎ目の部分に劣化がある場合もあります。
このように、各部位ごとの寿命に合わせて適宜メンテナンスがなされていけば、永く住む建物を実現できます。
「どのパーツがどのくらいの寿命」と暗記する必要はありません。
10年に一度ずつを目安に専門知識のあるプロがチェックし、必要なメンテナンスが施されていくのが理想的です。
寿命の長い部位であっても、利用環境によって劣化が進んでしまうこともあります。
例えば、土台や柱、梁などの木構造部分は、本来は80~100年強度を維持できます。
しかし、外壁に亀裂が入ってしまえば、壁内に侵入した雨水から、カビ・害虫、腐敗が起こり、劣化が加速します。
さらに、同じ面積の建物でも、柱の本数が少なければ、1本1本に掛かる負荷が違って当然です。少ない柱の家なら、築30年の間に起きた地震や台風によってすでに痛んでしまっている柱があるかもしれませんよね。
このように、柱という部位そのものの強度を維持できる期間は、さまざまな外的要因で左右されてしまいます。
築年数に応じた強度を発揮するには、次のような環境条件が整っている必要があります。
中古住宅の寿命は築年数だけでは判断できません。
建物ごとに、しっかり状況を確認することが重要です。
では、リノベーション用に購入する中古住宅は、どのような点をチェックすれば良いでしょうか。
チェックポイントはたくさんあるのですが、最低限確認すべき3点を紹介しましょう。
はじめに、購入予定の建物が建設された年を確認してください。
なぜなら、昭和56年(1981年)より前に建てられた建物は、構造体が脆弱である可能性が高いためです。
参考:耐震基準見直しの歴史(性能向上リノベの会資料より)
昭和56年は、建築基準法の大きな改定があった年です。
これ以前は、建設前に提出する確認申請のハードルが甘く、簡単に言うと、しっかり構造計算がされていなくても建築できた時代でした。
そのため、この頃に建てられている建物は、これまでの地震や台風などの外力によって構造が痛んでいる可能性が考えられます。
築年数でいえば、2024年現在、築40年なら「新耐震基準」。築50年(築42年以上)なら、「旧耐震基準」です。
中古住宅を購入する場合は、昭和56年以降に建設されているかをチェックしてみてください。
次に、建物の状況も確認しましょう。
プロに見てもらうこともできますが、まずはご自身で確認できる項目があります。
今回は、木造戸建て住宅を例に、チェックポイントをご紹介します。
【目視でチェックできるポイント】
【不動産業者などに確認するポイント】
中古住宅は、購入する前に内覧できる機会があります。購入を決断する前に、しっかり内覧させてもらい、建物状況を把握しましょう。
なお、ご自身で判断するのが難しそうという方は、先にリノベーション業者を絞り込み、プロと一緒に内覧するのもおすすめです。
私たちトウケンホームも、物件探し中のお客様と内覧をご一緒する機会がよくあります。お気軽にお声かけください。
もうひとつの確認ポイントは、ホームインスペクション(住宅診断)を受けているかどうかです。
ホームインスペクションとは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から既存住宅の性能をチェックするサービスのこと。
「不具合のある建物ではないか」
「いつどんなメンテナンスが必要か」
といったアドバイスを受けられます。
平成30年4月より、不動産の仲介取引をする際のホームインスペクションの内容説明が義務になったことをきっかけに、普及が広がっています。
もし、ホームインスペクションを受けたことがない建物でも、買主から依頼して診断士に見てもらうことも可能です。
住宅性能のセルフチェックやホームインスペクションについては、下記のブログでも詳しくご紹介しています。ぜひご覧になってみてください。
◆『中古住宅の断熱&耐震は大丈夫?性能セルフチェックポイントを紹介』
では、寿命を伸ばすリノベーションでは、どのようなことを行なうのでしょうか。
3つのステップで解説します。
はじめに、これからも永く住むために、修繕が必要な箇所を洗い出します。
例えば、各部位の防水加工がしっかりされているかどうかは、施工者の腕にも左右されます。また、適切なメンテナンスが行われてきた住宅かどうによっても劣化状況が全く異なります。
施工されたとき、住んでいたときに、どのような状況だったのかを想像しながら、これから永く快適に住むための工事を考えます。
性能チェックの結果、永く住むのに不安があると判断すれば、性能向上のための施工を提案します。
そのひとつが、構造体の強度を高める耐震リノベーション工事です。
2006年から2021年の間に行なわれた調査では、耐震診断を行った全国およそ2万8000棟のうち、「大地震でも倒壊しないだろう」と判断された住宅は、わずか10%という結果が発表されています。
耐震リノベーションとは、地震が起こったときに倒壊せず、地震の後もそのまま住めるような強い建物に改修することです。
必要な柱の数や位置を確認して必要に応じて構造壁を追加したり、基礎を補強したりします。
私たちトウケンホームでは、改修後に永く安心して暮らせるリノベーションを推奨し、現行基準を上回る強い構造への改修を提案しています。
詳細は、当社サイトの専門ページからもご覧ください。
完成して住んでもらった後も、定期的に住まいを確認し、必要なメンテナンスを行ないます。
当社では、施工いただいたお客様に「施工保証書」「メンテナンスカルテ」を作成しています。
「施工保証書」は、どんな施工をして各部位の保証がどのくらいかをまとめたもの。
「メンテナンスカルテ」は、メンテナンスが行なわれた情報を記録していくものです。
お客様のお家の情報を管理し、何かあった際はスピーディに対応できる体制にしています。
3つのステップのどれも、寿命を伸ばすリノベーションのために欠かせません。
築年数の進んだ中古住宅を購入しても、その先何十年も安心して永くお住まいいただけるよう、最善の提案をいたします。
購入した中古住宅に、これから何年くらい住めるかは、築年数だけでは判断ができません。
言い方を変えれば、「築30年だから、構造は確認せずに内装だけリフォームすれば住めますよ」などと言う業者がいたとすれば、言語道断です。
施工された状況
住んでいたときの状況
実際の建物の状況
全てを確認し、寿命を伸ばすためのリノベーション工事を適切に行なってこそ、その先永く安心して暮らすことができると考えています。
私たちトウケンホームでは、性能向上に注力し、デザインや暮らしやすさに加えて、いつまでも快適に住むためのリノベーションを提案しています。
永く住むための中古住宅購入をお考えなら、ぜひ一度、ご相談くださいませ。