2023/03/02
中小企業を活性化し、成功を探求する経営誌「理念と経営」にて、第9回「心に残る、ありがとう!」にてトウケンホーム村上友規が大賞を受賞しました!
「理念と経営」誌は一般の皆様にはあまりなじみの無い冊子かもしれませんが、私達トウケンホームでは、お客様の喜び探求や、私達の成長のためにこの本を元に毎月勉強会を行っています。
「理念と経営」では「ありがとう経営(ありがとうの好循環)」を主幹としていて、今回「ありがとう」体験談の募集があり、見事村上が大賞を受賞しました。
【出典:月刊「理念と経営」】
前置きが長くなりましたが、以下に全文を掲載いたします。よろしければご一読ください。
今から約三十年前、短大を卒業して入社する企業の研修も終わり、二日後にいよいよ入社式を迎える日に病院を訪れて自分が妊娠していることがわかりました。
翌日に家族と数時間におよぶ話し合いをし、私の産みたい気持ちを伝えたものの両親から子どもを産むことへの同意が得られず、また数日後に話し合いをする運びに。そんな状況と体調不良で入社式に行けるわけもなく、入社式当日の朝に会社に連絡し入社を辞退させていただきたいことをお伝えすることとなってしましました。
社長から怒涛のようなお叱りをいただき、「こんな不誠実なことをされたのでは、あなたの学校自体を信用できないので今後あなたの学校からはうちだけでなくこの業界への入社をさせないよう手配します」と…。
私だけの問題ではなくなり、両親の同意も得られずどうしたらよいのか、どうするべきなのか分からず、まずは学校に迷惑をかけてしまうことが大問題と捉え、不安なまま短大の担任に相談をしました。
その時に先生が言ってくれた言葉は、「いいか、会社のことや学校のことは何も木にしなくていいんだよ。会社にとって君はまだただの一つの部品みたいなものであって、たしかに必要だけれども代えはまた探せばいい。でもね、お腹の赤ちゃんにとって君は代えのきかない唯一の存在なんだよ。産みたいのであればご両親はいつかわかってくれるし、その子の為に頑張ればいい」
そう言ってあっさりと就職先の社長の怒りを笑い飛ばしてくれました。
後で聞いたのですが、その後先生は知り合いのつてを辿り、その会社の社長にお詫びしてくれて会社と学校の問題はなかったことにしてくれました。
あの時あの言葉がなかったら、私は選択を間違えていたかもしれない。あの時選択を間違えていたら、息子たちに会えなかった。
それからも時々先生は電話をくれました。
それは、その時の話ではなく、自分のダメなところや、今こんなことをしていて幸せなんだよ、なんて他愛のない日常を少し酔いながら話してくれました。
その数年後に先生は肝硬変で他界してしまい、息子たちを会わせることはできなかったけれど、今でもふと遠くの空に思い出します。
二十歳の私にとって重大事件を起こしてしまったと思い悩んだ出来事だったけれど、何が一番大切か、それを大切に思うならどうしたら良いのかをしっかり教えていただいた気がします。もちろん入社当日に辞退するような結果になってしまったことを軽んじて考えてはいけないけれど、あの時の選択を心から良かったと思っています。
先生ありがとう。今とても幸せです。